「イクメンという言葉はおかしい、親だから育児は当然」に父親は潰される。

2019/05/12

こんにちは。イソノです。
「イクメン」という言葉が使われて久しいですが(2010年から浸透してきたそうです)、その一方で「イクメンという言葉はおかしい」「2人の子なんだから育児するのは当たり前」「ママが育児するのが前提なのか」「土日におむつ替えしたくらいでイケメンを名乗るな」・・・等々の否定的な意見も満載です。

「イクメン」に対する(主に女性からの)否定的な意見は正論だとは思います。二人の子供なんだから育児するのは当然というのも理屈的にはもちろん理解できます。
しかし、こういった正論を妻や周りの女性たちに振りかざされると、父親は(少なくとも私は)「そんなこと言うなよ」となんだか虚しい気分になります。

なぜ虚しくなるかというと、世間の父親も同じだと思いますが、「自分なりにはやっている」つもりだからです。しかも、仕事との兼ね合いで結構ギリギリで「イクメン」をやっている人もいると思います。それを否定されるとやはり良い気分ではありません。
では、なぜ父親は女性の「イクメン」の期待に応えられないのでしょうか?
私の考える理由を書いていきたいと思います。

1.労働時間が長い。

この資料をみると、平均では9時間程度ですが、約半数は9時間以上働いています。
ここに通勤時間も加えると結構な時間になります。
仮に9時始業だとすると、休憩時間を1時間いれて定時は18時。そこに残業が1時間以上。さらに通勤時間があると、帰宅の平均は21時くらいでしょうか。それより遅い人も全体の2~3割です。
21時となると、子供が寝るくらいの時間。子供が起きているうちに何とか帰宅できるかどうかという感じです。
そうなると、奥さんの期待する育児には程遠いということになります。

2.仕事と家庭の両立を求められる。

「イクメン」という世の中の流れで、男性も家事・育児をしなければという意識が植え付けられました。
しかしその一方で、仕事をおろそかにしていいということにはなっていません。
別記事で書きましたが、次のようなジレンマです。

  • 「残業などしないで早く帰ろう!」←→「業績は落としてはいけない」
  • 「男性ももっと育児や家事をしよう!」←→「仕事ができない男はかっこ悪い 」

そもそも時間が無い中で、この両立が求められます。

ただ、「イクメン」という言葉が生まれた一方で、女性も働きに出て、現在では専業主婦世帯よりも共働き世帯の比率が高くなっているので、単純に男の負担だけが増えたわけではありません。
しかしながら、やはり経済的な部分での主体は夫であることが多いと思います。
結婚相手の条件としてある程度の収入が求められることを考えても、その役割は依然とあまり変わっていません。
「収入のメインは俺なんだから、その分家事育児は疎かにしても仕方ないじゃないか…」と一昔前なら言えそうなところですが、現在ではかなり言いづらいです。

【関連記事】
>男にとって仕事と家庭の両立はほぼ不可能。何かを手放すしかない。という事実。
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3.「イクメン」としての求められるハードルが高い

よくある「イクメン」批判は次のようなものです。

  • 「同じ家に住んでるんだから、家事や育児を「手伝う」て感覚がおかしい。」
  • 「育児しないママはすごい叩かれるのに。」
  • 「土日祝日しかオムツ交換したことがない"自称イクメン"の無駄に毛先が遊んでる頭をスリッパで思いっきり引っぱたきたい」
  • 「少し手伝った程度で恩着せがましい」

要は、ちょっとやったくらいで「イクメン」を名乗るな。夫も主体的に、しかも妻と両立する感じで当たり前の様に家事・育児をせよ、ということですよね。
まあ、(奥さんも働いている場合は特に)正論だとは思いますが、結構ハードルが高いです。
育児の主導権を握っているのは奥さんであることが多いと思いますが、夫が主体的にやるとぶつかったりします。「そういうやり方じゃない」「もっと丁寧に」「なんでもっと素早くできないの」と。

最初は上手にできなくても、少しずつやっていけば慣れて上達するはずなんです。でも、主体的にやってもダメだしされるので、ダメだしを避けるために「手伝う」レベルにとどまっている人も結構いるんじゃないかと思います。そして、奥さんからはさらに「イクメン」に対する評価が低くなる悪循環です。
(これについても以前記事を書きました)

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個人的な結論―「イクメン」という言葉を使ってもいいじゃないか。

「イクメン」という言葉に対する批判がある一方で、私は「イクメン」の果たしてきた役割は大きいと思っています。
周りの同世代の男を見ても、「育児はほとんどしない」という人は聞いたことがありません。
みんな、何かしら育児に関わっています。少なくとも、関わっているつもりです。
その少しの関わりが、女性の負担(育児の量)を減らしているはずです。
多少なりとも男が育児をやっているからこそ、「少し手伝ったくらいで」という批判も出てくるのです。
その、「多少やっている」育児を否定されると、父親は仕事と家庭の間で押し潰されてしまいます。

私の親の世代では、「オムツも変えたことが無い」という人はざらです。
今すぐには難しくても、いずれは男性も当たり前の様に育児をするような社会にしていくためには、「イクメン」というその方向性を浸透させる分かりやすい言葉が必要なんじゃないかと思っています。
長時間労働を改善し、男が育児する時間を少しずつ少しずつ多くしていくために、やはり社会の風潮というか意識が変わることが必要です。
男は仕事のみ、という時代でないことは身をもって感じています。この流れを作った一因は「イクメン」という言葉だったと思います。
世の中の奥様、違和感があっても旦那さんを「イクメン」として持ち上げてやってください。
男は単純なので、褒められたらもう少しイクメン度が上がるかもしれませんよ。
少しずつでも奥さんの役割が減っていけばwin-winなんじゃないかなあ。

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